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ダルビッシュが受けた『トミー・ジョン手術』は球速UPする!?囁かれる都市伝説の正体とは?



ダルビッシュ有投手が予定通り右ヒジじん帯の移植修復手術、いわゆるトミー・ジョン手術を受け、無事に成功したと発表した。この日から、ダルビッシュの復帰に向けた、長いリハビリ生活が幕を切ることになった。

 

Texas Rangers v Kansas City Royals

 

トミー・ジョン手術が増え続けるのは、信頼性の証。
もちろんチームからすれば、長いリハビリ期間を要するトミー・ジョン手術を受ける必要がないのが一番望ましい。
だが、ヒジに問題を抱えたまま期待通りの登板ができず、結局トミー・ジョン手術を受けることになるという方が、さらにリスクが高まってしまう。

そういったリスクマネージメントの見地から、じん帯が完全に断裂していなくともトミー・ジョン手術に踏み切るケースが増加の一途を辿っているといえる。それは裏を返せば、メジャーリーグ界(メジャーのみならず米国の野球界全体)でトミー・ジョン手術の信頼性が高いということに他ならない。

 

復帰に要する時間と、復帰率についてのデータ

それによると、復帰率はどの年代も高く88~92%で推移している一方で(ただし2012~13年の最新のデータはリハビリ中の選手も含むため76%に留まっている)、復帰期間は2005年までは平均で16~18カ月かかっていたが、それ以降徐々に短縮傾向にあり15~16カ月となっている。

 

米国球界に囁かれるトミー・ジョン手術の“都市伝説”

実は米国の野球界では、トミー・ジョン手術に関して一種の“都市伝説”が存在する。
アマチュア野球のコーチや選手の親の間で「手術を受ければヒジが強くなる」とか「手術を受ければ球速が上がる」などの間違った認識が広がり、必要もないのにトミー・ジョン手術を受けさせるケースも出ているらしい。実際、前述の年齢別の解析データでも12~19歳のトミー・ジョン手術の症例が81例(12~17歳が20例、18~19歳が61例)となっている。決して少なくない数字だろう。日本のメディアやファンの間でも勘違いされたまま報じられている部分はあるようだが、この都市伝説は明らかな事実誤認だ。

確かにじん帯を移植することで、損傷したじん帯が復活するのは間違いない。だが、それはただ単に負傷前の状態に戻っただけで、以前より“強くなる”ことは決してない。球速に関しても同じだ。ヒジに問題を抱えて投げている状態ではなくなるので、多少球速に変化が出ることはあるだろうが、トミー・ジョン手術だけで確実に球速が上がるわけではない。

 

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リハビリ中の肉体改造こそが“都市伝説”の内実

だがトミー・ジョン手術を受けたメジャーリーグ選手の復帰後をみると、何となく“都市伝説”が正しいように思えてしまうのも事実だ。別の知り合いのトレーナーから聞いたところでは、確かにトミー・ジョン手術を受けた投手が、手術前より多少なりとも球速が上がっているというデータが存在するらしい。だが、だからといって手術だけに注目してしまうのは些か早計だ。実は、手術から復帰するまでに行なわれているリハビリのもたらす影響も、無視してはいけないものなのだ。

 

長年パイレーツでストレングス&コンディショニングコーチを務める百瀬喜与志氏に確認したところ、チームによってリハビリ内容に違いがあるとした上で、大まかなメニューを教えてくれた。まずリハビリは13~14カ月を目処に組まれ、そこから選手の状態を確認しながら調整していくそうだ。そしてパイレーツの場合は、手術後最初の4カ月はヒジの状態を戻すリハビリを行なうのと並行して、有酸素運動と身体のバランスを整えるトレーニング(長年一定の動きを繰り返すことでどんな選手もバランスが乱れてしまうそうだ)を徹底的に行なうという。

その後、キャッチボールなどを再開するのに合わせて瞬発系のトレーニングを加え、徐々に身体を鍛え直していく。さらにあくまでヒジの状態を最優先にしながらも、最後の4カ月でスプリングトレーニング的な練習メニューに移行し、復帰時期を見極める、というものだった。つまり、リハビリ期間は単にヒジを元に戻すだけでなく、手術前以上の肉体改造も同時に行なっているのだ。これが“都市伝説”の真実。

 

ダルビッシュのストイックさに期待

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これまでトミー・ジョン手術を受けた選手を間近で取材してきて、復帰後に見違えるような体格になって戻ってくるのを度々目撃している。日本のメディアで「トミー・ジョン手術後に球速が上がった選手」として紹介されている田澤純一投手も、まさにその1人だ。それだけ田澤が地道なリハビリ生活に負けることなく、しっかりトレーニングをやり遂げた結果なのだ。 だから、じん帯を移植しただけで今の田澤が存在するわけではない。野球のみならず、トレーニングに対してもストイックなダルビッシュだけに、リハビリ生活を経て、さらにレベルアップした投球を披露してくれると期待しているのは自分だけではないだろう!!

 

 

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NumberWeb 菊地慶剛 = 文  引用


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